これでおしまい
篠田桃紅
講談社
2021-04-01


今年の3月に亡くなられた、
篠田桃紅さんの文字通り最後の著書。

子どもの時から大人の言うことを聞かず、
自分が納得しないと
頑として動かない性格の人だった。

集団で過ごすのは自分の性に合わないからと、
書を極めて、人に教えて自ら生計を立てる。

「なにものからも自由でありたい」という気持ちが、
人一倍強く、結婚さえもしなかった。


男尊女卑が強く、
女性は男性の家に嫁ぐのが一般的だった世の中で、
一人で自由に生きるというのは、
本当に強くないとできないことだと思う。

しかも海外へ行く日本人などごくわずかだったのに、
単身アメリカへ渡り、
作品が受け入れられていく。

彼女のように「個」をしっかり持っている女性は、
アメリカのような自由で開かれた国の方が、
相性がよいようだ。

彼女の言葉から伝わってくる、
凛とした強さ、
孤独を受け入れ楽しむ強さ、
自分の気持ちに正直に生きる強さが、
気持ちの襟を正してくれる。

桃紅さんのような生き方からは
程遠い私だが、
孤独でもいいんだ、
自分の気持ちを大切にしていいんだ
という勇気をもらったような気がした。

読後感の良い本だった。